2月に観たもの読んだもの

はじめまして、べべべべべべと申します。

 

このブログでは文章を書く練習として自分が観たり読んだりした作品(小説から音madまで色々)の所感や妄想や、ヲタク的な話などをずるずる書き記していこうと考えてます。

上から順に読むなり気になったものだけ読むなりゆっくりしていってください。

 

今回は2月に観たもの読んだものということで早速。

※作品のネタバレを含みます

 

仮面ライダー555 20th パラダイス・リゲイン

仮面ライダーファイズ20周年記念のvシネ。

パラダイスロストなどのif世界線ではなく、テレビ時系列から20年後という時系列の正統続編となっている。
今作で肝になってくるテーマは「変化と不変」だと思う。

20年という月日の中、かつて巧の周りにいた人間たちは様々な理由でいなくなったり、新しいことに挑戦したり、と人間らしい変化の伴う生活をしていた。しかしオルフェノクであり、寿命の近い巧は死への恐怖や、仲間たちが巧を失うという変化を恐れ、(半ば自暴自棄でもあるだろう)自ら仲間たちとの距離を置き、人間とオルフェノクどっちつかずの立場にいた。

だが物語中盤、真理も死の象徴ともいえるオルフェノクになることで巧との距離が近づき結局彼はTV版同様、人とオルフェノクの共存を目指すことを決意。あの頃と同じく変わらない旧型ファイズの姿で、(色んな意味で)変わってしまった草加や北崎を打ち倒し、最後には皆で食卓を囲んで物語は幕を閉じる。

この結末は当時ファイズを見ていた人々に対する「巧たちは20年後も変わらず正義と悪の狭間で悩みながらも、日常を送っていますよ。」という原作側からの、所謂不変を肯定するようなメッセージが感じられた。まあ僕はTV版放送当時とか生まれてませんけどね。

新フォームのネクスファイズの映像演出も凝ってたし新キャラの胡桃玲菜もいい塩梅でキャラが立ってた。正しく「夢の続き」を見せられた気分で、かなり満足度の高い映画だった。

TV版らきすたOVA

まあ言わずと知れた日常アニメ。一応ストーリーとしてはオタクの女子高生「泉こなた」とその友人たちの日常生活という感じ。なんで今更らきすたなのかというと、単純に履修していなかったので。

作品内では小ネタの量が凄まじく多く、オタク、サブカル寄りなネタから時代を感じるようなネタまで幅広いバリエーションのイースターエッグが隠されている。

ちょっと気になったシーンを調べてみると「○○はこうこうこういう小ネタなんですよー」みたいなブログとか知恵袋とかがいっぱい出てきてそれらをはしごして調べていく内に気づいたら1、2時間経ってるとかもざら。しかも製作が京アニなのも相まってもろに別作品のキャラが出てくることも多数。全部の小ネタが一発で分かるようなオタクになりたいぜ。

キャラクター面で言うと「柊つかさ」の「頑張ろうという気はあるがいつも意志が弱くて負けてしまう」という点やロングスリーパーな所に(勝手に)シンパシーを覚えて観ていた。また、そういったキャラだからこそのovaでのバレーボール回は非常に良かった。一発スイッチを入れて戦いはするが、結局日頃からきちんと努力しているかがみには一歩及ばない。この結末が柊つかさというキャラクターを体現するような回でとても気に入っている。

さらに彼女のキャラソン、「寝・逃・げでリセット!」これがまた素晴らしい曲で、寝逃げをテーマにするようなキャラクター性に寝起きで頭の働いてないような歌詞。「これはもう俺を救うために生まれたキャラなのでは?」と対人経験の少ないオタク特有の拡大解釈により思わず錯覚してしまった。

これまでニコニコ動画流星群とかで断片的に聞いたことはあったが、らきすたを観てから初めて全編聞いて、なんでもっと早く聞かなかったんだと後悔。

でも意志の弱いロングスリーパーとか現実に居たらただの甘ったれダメ人間なんだよね…

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にしても日常アニメというのはなぜこうも見終わった後いつも心にドでかい穴の開いたような消失感が残るのだろうか;;こんな悲しい気持ちも寝逃げで忘れるとしますか…

勇気爆発 バーンブレイバーン 7話まで

説明しよう、勇気爆発バーンブレイバーンとは今期の冬アニメの一作。地球に突如現れた謎の敵勢力、「デスドライヴス」と同じく突如現れた「ブレイバーン」というロボット生命体と搭乗者「アオ・イサミ」を中心とする人間達の戦いを描くロボットアニメ、そして私とイサミの熱い魂の物語なのである!(cv:ブレイバーン)
・・・

冗談は置いておいて、現在放送されてるアニメ、ブレイバーン。今作はロボットアニメという前提で見るとかなり尖った作品になっている。まず主人公機ブレイバーンの癖と自我がとても強い。主人公であるイサミに対する異常なまでの愛と執着、イサミの事情もお構いなしにぐいぐい近寄ってくる距離感、挙句の果てにもう一人の主人公「ルイス・スミス」が搭乗を希望しても「生理的に無理」とかいうおおよそロボットが言うようなセリフではない理由で拒否ってくる。さらにロボットアニメの「お約束」的なものにも妙に強いこだわりを見せており、登場時に自分の背後に自分のロゴマークを’自分で’映し出したり、武器や能力の解説を自らがナレーター口調で説明したり…といろいろとブッとんだロボットである。

OP楽曲のジャケットの画像がこれ。なに当然のごとくマイク握って微笑んでるんだよ。

ブレイバーン以外にもやたらと生々しい人間関係や描写(主にBL寄りな)が多く、EDではイサミとスミスが雨の降る中歌いながら服を脱ぐというまじでBLアニメを見終わったとしか思えない視聴感を得ることができる。

序盤(1~3話)までは主人公が突然現れたロボットに訳も分からず乗せられ周りに振り回され、最終的に閉じこもってしまうという展開から非常にエヴァ味を感じ、「そういう路線で行くのかな。」と思っていたが、4話でメンタルがある程度回復し、真っ当なロボット物のストーリーへと変わっていったので「王道路線では行くけど他ロボットアニメへのリスペクトは欠かさないよ」という製作の意思が伝わってくる。実際、ロボットデザインにも随所に他ロボ系作品へのオマージュが見て取れるし。

現在7話まで放送されているが正直話の着地点が全然予想できない。ドシンプルにデスドライヴスの謎とか諸々が明らかになって元凶を倒しに行く展開もあり得れば、これからもっとキャラクターの心情描写とかが増えて生々しい終わり方をするのかもしれないし、全然予想できないオチのつけ方で終わるかもしれない。いずれにせよ今後の展開が非常に気になる作品。

全然関係ないけどクピリダスが色合いとか声優も相まってアレクシスケリヴにしか見えなくて良い。ちなみに公式サイトを見てみるとスペルビアは「高慢」、クピリダスは「強欲」を司るという本編だけでは全く分からない情報が載っているため、ここら辺から考えるにデスドライヴスは七つの大罪が元ネタになってるのかなーとか妄想したり。

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三島由紀夫金閣寺』(新潮文庫)

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金閣寺放火事件を基にした三島由紀夫の長編小説。主人公、溝口は生まれつき吃音と醜い容姿により周りに馴染めず、幼少期から持つ金閣への強い憧れ、美的感覚を肥大化させ、遂にはその金閣を自らの手で燃やすまでの顛末が濃密な心情描写と硬派な文体によって描かれている。

いやね、これはね、やばい。この小説一番の魅力は気持ち悪いほど丁寧に描かれる完全に自意識を拗らせた主人公の思考、心情なのだけど、これがまた同じく自意識を拗らせた自分にクリティカルヒット。世間からずれ、他者に理解されないという業を背負った主人公の社会への憎悪、疎外感、厭世観。そして鬱々と培養される気色悪い自意識と余りにも幼稚だが持たなければ自我を保つことすらできないみずぼらしいプライド。あらゆる点で、自分がぼっちだった時のトラウマが蘇り、読んでる最中こちらも苦しくなってくるほど感情移入してしまってほんとにキツかった。

もう一つ重要になってくるのは主人公のもつビンビンに尖った美的センスである。溝口は物語の序盤に有為子という女の子に対して好意を向けるのだが他者との距離の測り方がわからないぼっちなので朝早くに出る有為子に待ち伏せして話しかけようとする。しかし彼が生来持つ吃音によって言葉が出ず有為子には軽蔑、嘲笑されてしまい、その結果溝口は有為子に対して死を望むほどの憎しみを覚える。その後色々あって有為子は溝口の目の前で撃ち殺されてしまうのだが、その時に溝口は「美しいものが目の前で破壊されていく時に放つ美しさ」にどんどん魅せられ、物語の要所要所でその価値観を確認することができる。さらにその感覚は金閣と結び付き、最後には金閣を自らの手で燃やし破壊するという結論に到達する。にしてもかっこいいよね、幼少期に埋め込まれた絶対的かつ圧倒的な美というぶっとい芯の通った観念。このでかすぎる美の存在のせいで主人公は美を呪い呪われ金閣を焼いてしまうのだけれど。僕は美についてここまで強い存在を考えたことがなかったので自らが美しいと思ったものに苦しみ締め付けられる姿にはある種の尊敬の念を抱いてしまう。こんな物語に加えこんな結末とわかっているのに読み終わった後にはなんとも爽やかな気持ちで満たされた。主人公が金閣を焼いてその呪縛から解放されたからだろうか?彼の最後の「生きようと思った」というセリフにはそれまで読んできたネチネチした意識に塗れた言葉とは180°逆の純朴さと真っすぐな決意を感じた。彼にかかった金閣の呪いを自らの手で解くことでようやく彼は一人の人間として完成したのだ。

しかしどうしてここまで鬱屈とした文章が書けるのか、それもそのはず、これは三島自身が感じたことを参考にしているからである。三島は当時体が弱く、他の同級生から揶揄われる日々、医師の誤診によって戦争に出兵できなかった経験、戦時中と戦後で目まぐるしく変わる価値観への混乱と疑問。彼のコンプレックスは類まれなる才能によって「近代日本文学の傑作の一つ」と言われるまでの作品に昇華されたのだ。

内容が難しくて理解できてないところもいっぱいあるだろうし、シンプルにめっちゃ面白いのでまたしばらく経ったら読み直そうと思う。せっかくだし三島の他の本も読んでみようかな。

にゃるら『蜘蛛』(講談社)

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「NEEDY GIRL OVERDOSE」を作ったにゃるらさんによる文芸小説。若さを持て余し孤独と共に将来への淡い希望を抱く何物でもないアニメアイコンの女の子「かな」があまりに美しくまるで蝶の様な美少女「あめ」と出会い彼女の人生は大きく動いていく。

これまた拗らせめんどくさオタクに対する会心の一撃たる作品。なんでもないアニメアイコンのかなの中途半端な孤独と反骨心、唯一持つ「若い時間」という価値と、それをいたずらに浪費する恐怖。それだけではなく、かな以外の登場人物の持つ性格の欠点や人間関係など、あらゆる点がにゃるらさんの美しく中毒性の高い文章によって生々しく表現されている。僕は終末時計くんが一番効きました。

それらの一般人とは一線を画す存在として描かれるのがあめちゃん。ニディガをちょっとでも知っていたらその正体はすぐわかるがまあわかんなくても全然話についていけるしむしろそっちの方が衝撃があって面白いかもしれないなとは思った。ひょんなことから、かなはあめちゃんと連絡先を交換し彼女の独特で崇高な世界の虜になっていく。このかなとあめちゃんのやり取りがとても良くて、明らかに他とはオーラの違うあめちゃんを前にかなはあまりに矮小な存在で、会話やともに歩くことですらまるでギャルと喋る時の陰キャみたいな焦り方をしてしまう。だが話が進むにつれ「壁」はあるものの徐々に二人の距離は近づき、後半では夜の閉店したショッピングモールのガラスを叩き割り、一緒にゲームセンターにあるメリーゴーランドに乗りに行く。こんな現実抜け出して二人で夢を見に行くぞ。

だがある時かなは距離を測り損ね、越えてはならない「壁」を越えてしまう。その結果かなとあめちゃんの関係は破滅しかなの眼前からあめちゃんは居なくなってしまった。しかし彼女がかなに残した(「施した」と言った方がいいかもしれない)救いと狂気は計り知れず、彼女にもう一度巡り合うためかなは持っている物全てをかなぐり捨てて配信者という修羅の道を進むことを選ぶ。結局人間は追い込まれないと行動できない生き物なのだなあ。

特にすごいと思ったのが世界観の作り込みで、現代におけるネットに常時接続される若者の窮屈さや焦燥感、うっすら見える諦めに近い暗い未来と、同じく僅かながら見てしまう淡い期待がここまで解像度高く描けるものなんだと驚かされた。更に僕は暇な時ににゃるらさんのブログを読み耽っていたのでその前提を持ってこの小説を読んだとき「この記事もあの記事も全てこの小説のための布石だったのか…?」と思ってしまうほど現代社会とにゃるらワールドの完璧なハーモニーが奏でられていた。ちなみに僕が一番好きなにゃるらさんの記事はこれ。

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総じてにゃるらさんの我がすべて詰め込まれた様な素晴らしい作品でした。小説二冊目の話も進んでいるらしいのでそっちも期待したい。

音mad諸々

 

奥の部屋世界宛て書簡

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黒塗り世界宛て書簡の(多分)私的mad

あまりテンプレに則らないかっこいい映像構成が刺さる。

黒塗り世界宛て書簡のmadもだいぶ煮詰まってきて色んな構図や作り方があって見ていて面白い。最初の街角のような雰囲気はこの黒塗りが思い出される。

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オーバーヒート

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オーバーライドのPOKELOID+シャンデラ人力のポケモンmad。

人力もPOKELOIDもどっちもやってるのがすごい。オーバーライドmadは良madも見られるうえにかわいい絵もいっぱい見れてお得。イーユイに煽られてるとこすき。

 

 

ぼっち@れいしすと

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racist_ bocchi memeのmadでもお気に入りの作品。音合わせの仕方が心地いい。

ぼっちざろっくは虹誰とか後藤ちんとかニジカとかへんなミームいっぱいあって楽しいね。他のぼざろmadで好きなのはこれとか

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これオススメです。

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以上が2月に観たり読んだりしたものまとめ。ブログ書くのって難しいね。ほんとは2月中に上げようと思ってたけどだらだら書いてたら気づいたら3月になっちゃった。とりあえず来月(もう今月)の分も上げるためにいっぱい色んなもの摂取していこうと思うよ。

でわでわ